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君が欲しい

第10章 君の涙

サラ・ヴォーンのしっとりとした、ムードのある歌声が部屋に流れる。


彼女は有名なジャズシンガーだ。


古いレコードだからノイズもあるし、音もあまり良くないが、何故か懐かしい感じがしてほっとする。


「人間の音らしくて落ち着くね。」


君が同じように感じていたのかと少し驚いた。


アイスコーヒーを手に取り
ストローを摘んで飲む君の喉がゴクリと動いて、またどきりとした。


頭ん中はさっきから、おかしな事ばかりグルグル回る。


親父の言葉のせいか?
サラ・ヴォーンの声のせいか?


いや、君がキレイだからだ。


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