狼さんの腕のなか
第5章 彼の秘密
「由紀斗くんが冷たい・・・
琉那ちゃんはあやしい・・・
京くんは・・・」
あれ?京くんは由紀斗くんの弟
だけどこの家には住んでない
『血縁関係は薄い』
京くんの言葉を思い出す
確か由紀斗くんは次期当主とか
言われてたし、正直お金持ちの世界は
よくわからないι
彼等にもいろいろ事情があるんだろう
わざわざ探る程のことじゃないし
それに、聞いても由紀斗くんは
教えてくれないと思う・・・
「もしもし由紀斗?」
「話ってなんだよ」
いつになく真剣な声の琉那
「美琴ちゃんに京が
由紀斗はヴァンパイアだって
話したらしい・・・」
「は?」
・・・まずい、京のことは
注意していた、なのにもう
京と繋がりがある?
「大丈夫?」
・・・大丈夫なわけないだろ
琉那の問いかけは無視で
話を続けた
「それで?あいつはなんて?」
「もう、素直じゃないわね
美琴ちゃんには冗談だって言って
話を終わらせたわ
美琴ちゃんも納得してたし」
「悪い、助かった」
「ねえ、話さないの?」
俺は話せないんじゃなく
話さないのを琉那はわかっている
「あいつが離れないって
保証があるならとっくに話してる」