狼さんの腕のなか
第3章 彼との生活
とりあえず誰か通るのを待とう
「・・・・・」
誰か通るのを・・・
「・・・・・」
誰か通る・・・・よね?
「・・・・・」
・・・・・・。
「もう!誰か通ってよ!!」
ガチャ
ゴン!!
「いったぁ!!」
もたれていたのは壁じゃなくて
ドアだったからドアが開いて
おもいっきり頭を打った
「っ~~~!」
床に頭を抱えてうずくまる
「お前・・・なにしてんの?」
「ゆ、由紀斗くん!?」
ここ由紀斗くんの部屋だったの?
「まさか、迷ったとか?」
う・・・
「それとも続きしてほしくなったか?」
「それはない!!」
「じゃあ俺は行くから」
え、ちょっと?
「待って!あたし迷っちゃって
その・・・・部屋に戻れなくて・・・・」
「案内しろって?」
「うん・・・・お願い」
「・・・動くなよ」
へ?
「ちょっ!!」
由紀斗くんはあたしの首に
キスをした
「部屋まで連れてってやるから
今度は逃げんなよ?」
悪戯な笑みを見せて
何もなかったように歩き出す
由紀斗くんとは反対に
顔を真っ赤にしてしばらく
彼の後ろ姿を見つめることしか
できないあたし
''今度は逃げんなよ?''
首にまだ熱い感触が残ってる、
そして印も・・・・
きっとこれは彼の、あたしを
繋いでおくための首輪なんじゃ
ないかとかいま思ってるあたしは
近頃彼の優しくていじわるな笑顔に
惹かれていることに気付いてなかった
「あ、待って!」
あたしは由紀斗くんのあとを
着いていった