えっちなまほーにかけられて
第1章 ♯記念日。
パーンっ!
私は雑誌を読んでいた真也の耳の近くで
クラッカーを引っ張った。
『!!?…おまっ!何すんねん!』
『今日は何の記念日か知ってる?』
真也は間髪いれずに答えた。
『ゴミの日』
『ちがーうっ!』
ひどい………。
2人の記念日を忘れるなんて…。
私は泣きそうだった。
でも泣いて真也を驚かせようとも思った。
『…っうぅ……ばかっ…』
私は両手で顔を隠しながら
(指の隙間から真也を観察中。)
嘘泣きをした。
『……………』
『……なん…っで……うぅ……』
『……………』
………おかしい。
返事が一度も返ってこない。
不思議に思った私は指の隙間から
周りを見渡す…………が、
真也はいない。
『…えっ?』
慌てて両手を顔から離すと
ぴこんっ。
『あだっ!?(泣)』
後頭部を何かで叩かれた。
後ろを見るとそこには、ピコピコハンマーを持った真也がいた。
『……あ…真也。』
『…あほやな、お前。俺がそんな子供だましに引っかかるとでも思ったんか?』
『……だって真也…今日の……』
『あーもぅ、うるさい。』
『……っ!?』
言葉が遮られ、唇に真也の薄いけどとても柔らかい唇が重なる。
真也の吐息を感じて私はすぐに紅くなる。
『俺が覚えてないとでも思ったか?』
『………ぇ?』
『……今日が記念日ぐらい、一週間前から知ってたわ。』
『じゃあ、なんでっ…』
『優をイジメたかったから。』
どくんっ…
ズルい。
こういう時の少し余裕ぶった様子だけど真剣な真也の表情は、一番ドキドキする。
『~ッ///………この、Sっ///』
『…るさいわ、あほ。俺はドSや。』
そういうと真也はもう一度私に
唇を落とす。
さっきとは違う、角度を変えない、一度きりの特別熱いキス。
お互いの舌を絡ませ、
息が途切れ途切れになる深いキス。
『………っふ……んっ///』
『……優…ちゃんと舌いれろや。』
『……やっ…だ……恥ずかしい///』
『これからもっと恥ずかしいことすんねんから、ええやろ別に。』
そんなスパッと言うなばかっ!
私は、自分の舌をゆっくりと捧げた。
くちゅ………ちゅ……
恥ずかしい音が静かな部屋に響き渡る。