眠れぬ王子と猫な僕
第16章 誓いのリング
「止めろ!」
その時怒りに満ちた誰の声が璃依さんの動きを止めた。
さらりと流れる黒髪………
僕より大きくて、しっかりした肩……
すらりと伸びた手足………
白い手袋をつけた右手………
「………え、い……と、さん…………?」
「妖巳……ごめんな。
俺のせいで………ごめんな…」
瑛兎さんは僕に苦しそうな顔を見せて、璃依さんに視線を戻した。
「妖巳から離れろ。
俺の恋人だ」
「はっ。どうして此処がバレたかなぁ。
…妖巳は俺の物だ」
瑛兎さんは素早く間合いを詰めて、璃依さんのお腹を殴った。
「うぐっ!」
璃依さんは床に膝をついてナイフを離した。
そのナイフで、瑛兎さんは僕の首輪を切って
手足の拘束も解いてくれた。
「腕……こんな………。
痛いだろ?………ごめん」
「痛いけど………来てくれたぁっ
瑛兎さん!」
僕は無傷な方の手で瑛兎さんにしがみついた。