『眠れぬ王子と猫な僕』第16章「誓いのリング」　132ページ

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眠れぬ王子と猫な僕

第16章誓いのリング

｢妖巳…ｯ｣

｢妖巳様!｣

俺の横から明日香が心配そうに声をかけた。

｢………ぅ……んん｣

妖巳の瞼が微かに痙攣してゆったりと開いていく。

｢……ん。………れ？……｣

｢ょ………みぃ……｣

今まで張り詰めていた何かが突然切れた様に涙が出た。

｢わ……っ。ぇ……と、さん？だいじょ、ぶぅ？｣

｢あぁ……うん。

ごめんな、妖巳｣

｢……？｣

｢あんな怖くて嫌な思いさせて、こんな傷も……俺が護ってやれなかった。｣

―――ﾌﾞﾝﾌﾞﾝっ

妖巳は勢いよく首を横に振った。