眠れぬ王子と猫な僕
第4章 モノクロな王子
「俺の名前は駿咲瑛兎(スルザキエイト)。18歳の高校生なんだ。趣味は読書と乗馬…かな。君は?」
「あ、えっと、名前は雨凪妖巳(アマナギヨミ)。16歳…。」
「妖巳か。可愛い名前だね。君自身、とても可愛いし。」
瑛兎さんは小さく微笑んだ。
僕はそんなこと言われたこと無かったから、どう答えればいいのかわからなくて深く俯いた。
「あ、ごめんね。男の子なのに可愛いなんて嬉しくないよね。」
「ううんっ!違うんだ!こんな優しくされたことないから……」
「そっか。でも、もう大丈夫だよ。」
瑛兎さんは深く詮索せずに、頭を撫でてくれた。
「ここが俺の家だよ。さ、入って。」
たどり着いたそこは、大きな門のまえで、その奥には広い庭園と洋風の屋敷があった。
さっきから感じてたけど、やっぱりお金持ちなんだ。
「すごい。」
「だよね。大き過ぎるよ。でもここ、俺しか住んでないんだ。住み込みの使用人はいるけど。」
屋敷の中へ入ると、使用人だろう人達が出迎えていた。
『お帰りなさいませ、瑛兎様。…?そちらの方は?』
「あぁ。彼に着替えを用意しろ。傷が痛まないように、風呂にいれてやれ。手当てもな。」
『かしこまりました。すぐにでも。』
知らない人にこんなに迷惑かけていいのかな。
この代償に何をされるんだろう。
僕は不安で、小刻みに震えていた。
「妖巳、安心して。ちゃんと俺も付き添うから。」
「あ、うん。」
『ご用意が出来ました。どうぞこちらへ。』
僕は丁寧にお風呂に入れられ、傷の手当てをしてもらい、瑛兎さんが昔着ていた服をもらい、瑛兎さんの部屋へ招かれた。
「もういい。さがれ。」
『かしこまりました。では。』
僕は瑛兎さんと二人きりになった。