眠れぬ王子と猫な僕
第9章 風邪
少しずつ、少しずつ。
妖巳が感情を見せてくれる。
朗らかに笑ったり、不安げに甘えてきたり。
「瑛兎さん、どうしたの?」
心配そうな顔で覗き込んでくる。
「ごめん、妖巳に見とれてた。」
冗談っぽく笑っていう。
すると、妖巳は頬を紅く染め俯いた。
こんなに可愛い表情を、アイツにも見せていたのか。
俺の中に潜む、黒い感情が浮き彫りになる。
ぐちゃぐちゃにして、捕らえてしまいたい。
妖巳が自ら俺の全てを求めるまで、
縛り付けていたい。
そう思い、妖巳の首輪に触れる。
前から気にはなっていた。
あえて詮索はしなかった。
でも、独占したいと思うほどこの首輪が何なのか知りたい。
「これは、何?何のためにつけてるの?」
「え?なんのこと?」
「首輪だよ。この首輪のこと。」
「そ、れは。……その、、、」
なかなか話だそうとしないのに苛立って、グッと首輪を引っ張ってしまった。
「うっ……!ごめんなさい、許して…ごめんなさい!」
妖精巳の言葉で我にかえる。
「すまない、つい力が入って……。ごめんな。」