眠れぬ王子と猫な僕
第2章 望まれぬ子
「あーぁ、お腹空いた…」
なんて呟いても誰もいない。
「あっ!パン……だ…」
床に転がっていた腐りかけのパンを1欠片見つけた。
それを取ろうと手を伸ばす。
「ん…、あと、ちょっと……。うぅっ」
鎖で繋がれ、動きを制限されているからあと数センチ届かない。
「もう少しッ、あと、、もう少しッ!」
首輪が喉に深く食い込む。
……苦しいよ。…………誰か、外して。
ガチャガチャ
ドアの鍵が開く音がして、男の人が入ってくる。
お客さんだ…………。
僕は一層気が重くなった。
「はっ。惨めな姿だなぁ。にしても、本当に美しいな。まぁ、10万も払ったんだからそりゃそうか。」
そう呟いて男は僕の頬に触れる。
多分40代後半くらいだろう。加齢臭と香水の匂いが混ざりあっていて、僕の鼻をツンとさす。
「ほら、耳と尻尾を出してごらんよ。化猫君♪」
―――そう、僕に大金を払う輩がいるのは、単に僕の容姿がいいからじゃない。
僕は猫人間、化け猫。
気持ちが高ぶったり、危険を感じたりすると耳と尻尾が出る。
その姿になると、妖力の力もあって、とても可愛らしく、色っぽくなる。
そんな僕を犯すために、皆は大金を払うんだ。