眠れぬ王子と猫な僕
第11章 学園と嫉妬と危険な香り
「お、駿咲。やっと復帰するのか。」
「校長先生。はい。長々と休んですいません。」
「お前は優等生だからな。ん?その子は?」
校長先生は、僕を見て首を傾げた。
「先日話した、家で預かっている親戚の子です。妖巳、挨拶は?」
「う、うん。あ、まなぎ、よみ、です……」
ペコリと頭を下げた。
「今日から編入する子か。随分小柄だな。雨凪のクラスは〜、1ーBだ。藤牧先生、この子、転校生。よろしく。」
「はい。初めまして、藤牧まなです。よろしくね、雨凪くん。」
「はぃ……。」
藤牧先生はまだ若くて、落ち着いた雰囲気で美人だった。
「では、僕はこれで。藤牧先生、妖巳を頼みます。」
「ええ!任せて!行きましょうか、雨凪くん。」
藤牧先生は僕の手を引いて歩き出す。
僕は緊張で足が震えてた。
1ーBの教室は2階にあって、3年生の教室は別の棟にあるらしい。
意外と広い学園で瑛兎さんに会うことは難しい。
……怖いなぁ
「じゃ、私が呼ぶまでここにいてね。」
こくんと頷くと先生は中に入って行った。
(え〜、今日はなんと!転校生が来ています。)
(まじ?でも野郎だろ?さっさと紹介終わらせてよ。)
(そぉそぉ。早く入れちゃって。まなチャン)
(静かに!ったく〜。雨凪くん、入って。)
う〜、ついにきた。
落ち着いて、落ち着いて。
―――ガラガラ
「うおー!かっわい〜♪マジで男子?」
「ちっさ過ぎでしょ?女じゃん。」
「ねぇ、名前は?アドレス教えてくんない?」
僕が入ると教室中が騒がしくなって、急に話しかけられたから、つい固まってしまった。