眠れぬ王子と猫な僕
第11章 学園と嫉妬と危険な香り
「瑛兎さん?」
「ん?だれだれ?知り合い?」
「瑛兎って、あの駿咲瑛兎?超優等生だろ。」
「姫、駿咲先輩と知り合いなの?」
「はい。あの、瑛兎さん呼んでるから、行っていいですか?」
「ま、いいや。駿咲先輩めんどそうだし。」
「ごめんなさぃ……」
なんとか抜けて廊下に行くと、瑛兎さんが心配そうに見つめていた。
「妖巳、大丈夫だった?」
「瑛兎さんっ!僕……怖かったよぉ」
「妖巳が可愛いから。心配した通りになってたね………。変なことされてない?」
「お尻、触られた………」
瑛兎さんが来てくれて安心したからか、涙目になる。
「触られた?どいつ?誰がやったの?」
「あそこの、茶髪の背の高いひと……」
「赤司奏(アカシソウ)か。」
「どうするつもりなの?」
「どうって、退学だけど?」
「や、止めてよ!退学なんて……」
「じゃあリンチでもして、一回締めとこうか?」
「いいよ。何もしなくて……」
瑛兎さんって、サラッと恐いこというなぁ
「なんで?」
「なんでって……」
「俺の大事な妖巳のお尻を触ったんだから。あんな汚い手で!」
「声が大きいよっ///」
「ごめん。でも何か手を打たないと、エスカレートするんだよ。気持ち悪かったんだろ?」
「うん……。僕、瑛兎さん以外はいや。」
ギュッと瑛兎さんに抱きついた。
瑛兎さんは凄くいい香りがして落ち着く。
「よしよし。また変なことされたら言うんだよ?頑張って。すぐ馴染めるよ。」
「ありがとう!僕、頑張るね……」
最後に僕のおでこにキスして、瑛兎さんは教室に戻った。
すぐにチャイムがなって、初めての授業が始まった。