眠れぬ王子と猫な僕
第11章 学園と嫉妬と危険な香り
「泣かないで……。妖巳が泣くと、俺も悲しい。」
「瑛兎、さん……瑛兎さん!」
「まったく。なんてことを……。妖巳、もうおとりはしなくていいよ。本当にすまなかった。」
「いいんです、やり、ます。」
「………。そうか、わかった。ありがとう。」
「妖巳、昼食食べようか?」
僕を気遣ってるんだろう。いつもの笑顔で言う。
「うん。そうする。」
「――愁、次は許さないからな」
「わ、わかってるって。怖い顔しないでよ。」
「行くよ、妖巳。食堂はすぐ近くだから。」
「うん!」
食堂へ向かう途中、どうしても謝りたくて僕は口を開いた。
「ごめんね………瑛兎さん……」
「ん?なにが?」
「僕が頼りないから……、きっと、あんなことになるんだよね………」
「そうかな?妖巳が謝るのは違う気がするけどな。」
「けど……動くどころか、叫べも、しなかった…から」
「あんな時に声はって助け呼べる人いないよ。それより心配なのは、おとりのこと。」
「僕、瑛兎さんにはんこーした。ごめんなさい。」
「いや、それはむしろ嬉しかったよ。妖巳が自分の意思を伝えてくれて。でも、俺はやっぱり反対かな。」
「それは、僕が、頼りないから……?」
「妖巳が可愛いから。」
「――ッ///」
「その表情、他のやつに見せたら駄目だよ。絶対惚れるから。」
「な、やめてよ……///」
その後は普通に昼食を食べて、午後の授業をうけた。