眠れぬ王子と猫な僕
第11章 学園と嫉妬と危険な香り
あれから授業には全く集中できず、放課後になった。
完全に妖巳のことで頭がいっぱいだ。
こうしている間にも、クラスメイトに絡まれ、触られていると思うと怒りがこみ上げてくる。
「……ぃと。瑛兎!」
「あ?」
「あ?じゃないよ!僕が話し掛けてるのに無視するなんて。」
「考え事か?どうせ妖巳の事だろ。」
「なんの用?もう帰りたいんだけど。」
「謝りにきたの!ごめんね!」
それが謝りにきた人の態度だろうか。
「もういい。もう怒ってないし。じゃあな。」
本当はムカついてるけど、愁よりクラスメイトの奴らの方が気にくわない。
「待って!1つだけ忠告……」
「何だよ。」
「妖巳のクラスに、秋津と赤司っているでしょ?」
「いるけど、何?」
「僕さぁあの二人と同じ中学だったんだけど……。かなり危ないと思う。気を付けた方がいいよ。」
「ああ。わかった。」
そのまま妖巳の教室へ急いで向かう。
教室には男子に囲まれて、怯えている妖巳がいた。
「いいじゃん、姫〜。カラオケ行こうよ。」
「…でも、僕、帰らなきゃ………」
「ほんの何分かだけだって。ほら、行こうぜ。」
「いや…です……。お金も、無いし……」
「奢るに決まってんじゃん!早く行こ?」
「………ゃ。ごめ、……さぃ。」
1日目からここまでとは思ってなかった。
そろそろ助けないとまずいだろう。
「妖巳、迎えに来たよ。」
「ぁ……瑛兎さん……!」
振り向いた妖巳はの瞳は潤んでいて、それだけで理性なんて簡単に吹っ飛びそうだ。
「またお前かよ……。」