眠れぬ王子と猫な僕
第12章 甘美な誘惑
「殺す。」
「え〜僕が?僕捕まりたくないよー♪半殺しにしとこーよ♪」
「や、やめてくれっ!本当に何もしていないさ。」
「馬鹿かお前。今お前がしてたこと全部撮ってたんだよ。俺の妖巳にふざけた真似しやがって。」
あれ?
なんかいつもと瑛兎さんの雰囲気が違う…
ちょっと怖いけど、かっこいい……
「君には失望したよ、岩倉くん」
「が、学園長!」
「おぅ、やっときたぁ♪冷〜♪♪」
「悪いな、遅れた。妖巳?大丈夫か?」
「はぃ、大丈夫です……」
「瑛兎、なんならもう帰っていいぞ。二人だけの方が妖巳も落ち着くだろうし。ありがとな。」
「ああ。帰らせてもらうよ。妖巳、抱っこしてあげようか?」
瑛兎さんが冗談っぽくいう。
「からかわないで……///」
結局瑛兎さんは僕をお姫様抱っこして車まで歩いた。
ほ、本気だったんだ……
家につくと、瑛兎さんはホットココアを淹れてくれた。
「飲むと気分が和らぐよ?」
「ありがとう」
「熱いから気をつけて…」
瑛兎さんがいると落ち着くけれど、あの感覚は簡単には消えない。
――抱いてほしい………
瑛兎さんが好きだから……
瑛兎さんも僕が好きだって証明がほしい……
その感覚で岩倉先生を消したい…
ベッドに座っている僕は瑛兎さんを見て、そう思った。
だけどそれがいけないことと、知っているから、泣けてきた………
「妖巳?やっぱりまだ怖いのか?」
驚いた顔をして瑛兎さんが近づいてくる。