眠れぬ王子と猫な僕
第13章 哀しみの連鎖
着いたのは大きなデパート。
東京ドーム4つ分くらいありそうだ。
「え〜と、SHOP,SURUZAKI?」
「よく読めました。此処は駿咲家のデパートだよ」
「すごぉい…」
「とりあえず、入ろう」
「え!?」
笑顔で半歩前を歩く瑛兎さんは僕の手を握っていた。
「え、瑛兎さん…ここ、たくさん人いるんだよ……」
「デートなんだから、これくらい当たり前。なんならキス、する?」
「皆が見てるよぉ……」
「あぁ。見せびらかしてんの。俺の妖巳だって」
あれこれ抗議しても、結局離してもらえず
手を繋いだままデパートをまわった
「わぁ!ケータイがいっぱいある」
「そういえば、妖巳はまだケータイ持ってなかったな」
「僕、別にほしくないよ……」
「でも、何かあった時の為に持っておいた方がいいから……好きなの選んで」
「ありがとう…!ん〜、どれがいいのかわかんないなぁ」
「これなんか、可愛いんじゃないか?」
「ほんとだぁ。ピンク色で可愛い…」
瑛兎さんが見つけたそれは、薄いピンク色で小さめのスマートフォンだった。
「じゃ、これにする?」
「うん…。いつもありがとう」
「いいんだよ。俺は妖巳を甘やかすのが好きなんだ」