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みえない鎖

第17章 回想

ホテルに連れていく前に明らかに動揺を見せた瑠璃。

その時の車のナンバーをたまたま覚えていた。その時は不審者か?ぐらいの感覚で。

ただ、今日2度も遭遇すれば何となくあの男が瑠璃に対して何か考えている事は解る。

「今更返さねえよ」

ぬるいビールをまた一口。

気のせいならまだいい。別の奴を待ってるのかもしれない。
けど・・・気のせいじゃなかった時が面倒だ。

そして瑠璃が元彼に対して動揺する程、何かしらの気持ちを残しているなら厄介で。

・・・って気がつけば家に引っ張り込んで今に至る。

やってる事がガキっぽい自覚はあるが、だからといって、このままあの男と瑠璃を会わせる事はしたくない。

「よそ見、させる気はねえからな」

一口、また一口。
ぬるいビールを流し込む。
苦味が今の状況を反映しているようで、ちっとも酔う事が出来なかった。

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