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みえない鎖

第22章 区切り

後ろ向きな思考回路の時は、自然と視線も下に向くものらしい。

私の手を引いて歩いていたアキの足が止まったところで、顔を上げると、

マンション近くのパーキングに、青い車と、運転席から出てくる見慣れていた姿。

「・・・っっ」

アキの方を見ると、私の元彼を見て何か呟いた。
声として捕らえる事の出来ない音量だったから、何を言ったか解らないけど。

「瑠璃」

アキの視線はこっちに向かって歩いてくる元彼を捕らえたまま、無表情。

「・・・うん」

ちゃんと言わないと、って思って、繋いでいる手を離そうとしたのだけど。

「手を離すなよ」

繋いでいる手に力がこもるのが解って・・・返事が出来なかった。

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