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みえない鎖

第26章 歯止めと暴走

腕を離すと慌てて靴を穿いて出ていく男。両手をネクタイで括られたまま・・・、

無様だなとは思うが、それ以上の同情はしない。

入り口のカギをきちんとかけ、スマホの電源を落とすと、その辺に投げていたケースを手に取る。

「・・・これか」

振ると容れ物の中で錠剤がカラカラと踊る。

実は名刺を抜いた際に、もうひとつ手にしたもの、それは薬だった。ケースに入った錠剤。

いらねえけど、証拠としてぶんどった。最悪病院に連れていくにしても、薬が何か解らねえと、な。

「とりあえず、どうするかな」

ベッドに目を向けると、荒い息を繰り返す、見慣れない瑠璃の姿。

「・・・アキぃぃぃ・・・」

呼ぶ声に、薬を飲まされた罪悪感も重なるが・・・。

「何だよ?」

声だけでも、何時も通りの口調で瑠璃に接した。

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