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みえない鎖

第29章 絡むしがらみ

「帰るよな?」

「・・・うん」

1,000円を机の上に置くと、瑠璃の左腕を掴み、引き寄せる。

「詳しい話は、家で聞く」

こくり、と瑠璃は首を縦に振る。

「帰る前に一つ聞くけど、呼び出したのはお前か?」

「・・・そこの彼女に呼びだされただけだ」

二度と会いたくなかった男に聞くと、ぼそぼそと返事が返る。思わずチッと舌打ち。

「な、なに、何?」

険悪な雰囲気に狼狽える彼女。

「この男を呼んだのは、君?」

「はい。彼氏を呼んだだけですよ?」

「・・・彼氏?」

こんな至近距離での二股とはびっくりだ。瑠璃が彼女だった、という事実を知ってたら普通は呼ばねぇよな。当て付けじゃない限りは。

当て付けだろうと何だろうと、もうどうでもいい事だが。

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