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みえない鎖

第29章 絡むしがらみ

「詳しいことは彼氏に聞きな」

目の前の男が、二股していた事や、ストーカーしていた事をぶちまけて、別れようがどうしようが、どうでも良かったのだが・・・。

それよりも、瑠璃とあの男が至近距離にいる事実の方が嫌で、

瑠璃の腕を掴んだまま、そのままカフェを後にした。

瑠璃が逃げないように、といっても逃げるそぶりを瑠璃がしている訳じゃないが、

力を入れすぎないように、腕を掴んだままコインパーキングまで連れて行き、車に瑠璃を乗せて、とりあえず家まで車を走らせた。

「・・・アキ」

「後で話は聞く」

イライラする。会いたくない相手、瑠璃が会ってほしくない相手、あの男の顔が脳裏にちらついてイライラする。

会ったことが不可抗力だった、としても。

いつもの駐車スペースに車を置き、家に入るまでまた腕を掴んで歩く。段々、イライラ感から高揚してきたのか、気が付けば瑠璃を急かす感じで歩いている。

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