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みえない鎖

第29章 絡むしがらみ

もどかしいイライラの中、思い出したのは、何故かあの部屋の事のだった。

瑠璃には、兄の仕事用の書庫だから、と説明していた、俺の部屋と瑠璃の部屋の中間部分にある鍵付きの部屋。

家にたどり着き、靴を脱ぐのももどかしい気持ちで脱ぎ捨て、何も考えず、ただひたすら歩き、

書庫、と称していた部屋の鍵を開け、ドアを開き、瑠璃を先に押し込んだ。

「・・・・・・え?」

無理もない。書庫と教えていた部屋は、書庫ではなかったのだから。

あまり広くない部屋の中央に鎮座するのは、キングサイズのベッド。シーツが主張する色は黒。

ベッド以外にあるものといえば、入ってきたドアから反対側に置かれた、テレビ台の上のテレビだけ。

後、目を引くのは、ベッドから見て足を向ける方向の壁は一面の鏡張り。一応、その鏡は収納スペースの扉ではあるのだが。

部屋に入り、後ろ手でドアを閉めると、瑠璃をベッドの上に押し倒して、馬乗りになる。

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