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みえない鎖

第29章 絡むしがらみ

「さて、と」

兄がこの部屋を見せた時、コイツおかしい、と思った。この部屋は、後1つ普通の家にはない物がある。

・・・床下に転がってる、鎖。

以前、ここに住んでいたのは兄とその婚約者。何を思ったか兄は一時期、彼女をここに縛り付けていたことがある。

当時到底理解できる話ではなかったが、今何故か縛りつけたい衝動に駆られている。あの時の兄の気持ちが少し解る、気がする。

昏い気持ちに囚われる。まさか、そこまで執着するとは思っていなかった。

目の前の、瑠璃、という存在に。

「・・・話を、しよう、か」

縛りたくなる衝動を抑えつつ、馬乗りのまま、話を続ける。

話より、そのまま襲って、メチャクチャにしたくなってもいるけど。

身体の中に渦巻く衝動と格闘しながら、この部屋に入ってから全く反論も反抗もしなくなってる、瑠璃の反応を・・・ただ、待った。

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