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みえない鎖

第30章 解くしがらみと甘い誘惑

アキが身体を私に倒してきたので、完全に腕が背に回る。

意図せずアキに抱きついて寝ている格好になり、お互いの顔は見えなくなって、

それと同時にお互いの肌の熱と息が解る距離に、少し戸惑いと安堵が覆う。

「・・・・・・・・・悪、かっ・・・た」

長い長い沈黙の後、聞こえるか聞こえないぐらいの小さな声が、耳に届く。

「・・・うん」

「・・・・・・ムカついた、けど」

「・・うん」

「壊して、終わりにしたいわけじゃねえ、から」

「うん。・・・・・・私、も・・・ごめん、ね」

それに対しての返事はなかったけど、お互い落ち着いた様でホッとする。

・・・人肌って安心する。好きな人が相手なら、なおさら。

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