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みえない鎖

第30章 解くしがらみと甘い誘惑

アキの左隣に座る。少し隙間を開けて。

座った直後に、ちらりとこっちを見たアキだったけど、何かしらの反応をすることなく「飲む?」とだけ聞いてきた。

感情の機微は、読み取れない。

「何?」

「ワイン」

暗闇でも見えるグラスの形がワイングラスだったから、推測は簡単だったけど。

そういえば、ソファの前の机の上には、ワインボトルと、豆っぽいおつまみが見える。

「・・・いい。未だ苦いから」

ワインは飲んだことあるけど、どうも苦い。甘い、と表示してあるワインですら、何故か美味しくは感じない。

「でも珍しいね。ワイン飲んでる所見たことなかったから」

「たまたま今日はワインだっただけで、こだわりはねえからな」

そう言うと一気にワインを呷る。

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