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みえない鎖

第11章 素の相手

ホテルの1階で、簡単な朝食。

飲み物に、パン、果物、サラダ等を、適当に取って食べる。
ビュッフェスタイルだからか、

「・・・旅行してるみたい」

「旅行は今度な」

それもまた嬉しい言葉。

「で、瑠璃の苗字は?」

話を聞く、というのはそういうことらしい。よくよく考えれば、苗字すらもお互い知らなかったりした。

「笠原(かさはら)」

「年は?」

「19」

大学2年。実家は遠いから一人暮らし。駅前のケーキ屋さんでアルバイト中。高校生の妹がいて・・・。

好きなもの嫌いなもの、大学の事・・・途中からは話すのが楽しくなる。

好きな人と普通の話が出来る。楽しくて仕方ない。

「食べろよ」

時々話に夢中になって食べる手が止まるから、アキに促されちゃうほど。

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