彼の兄
第3章 好きなのに
「いや、ここに用事があってさあ。日菜ちゃん家まで送るよ。車で来てるし…昌樹も乗れよ」
「おおっサンキュー!日菜いこうぜ」
「…う、うん」
嘘でしょ?
まさかずっとつけてたの…?
バイブはまだ強く振動していて、私は歩けなくなりそうだった。
それを見ていた拓磨さんは、ゆっくりと近付いてきた。
「日菜ちゃん…大丈夫?ほら、行くよ」
ぐっと引っ張られて、私はよろけて拓磨さんの胸に飛び込んだ。
「?積極的だね」
「なっ…違いま…す…」
急にバイブは弱くなり、また微かに振動し始めた。
イキそうになりながら必死にこらえて車の助手席に乗せてもらった。
運転は拓磨さん。後に昌樹.
なのに…なのに…!!