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彼の兄

第3章 好きなのに


「日菜!!お待たせ~」
駅で昌樹を待っていると、笑顔でやって来た。
「…うん!」

バイブが弱く振動し続けていて、私は恥ずかしくて、申し訳なくて、いっぱいっぱいだ。

「これからどうしようか」
昌樹が笑いかけてくれる度に
胸の奥がきつくなる。
「ん…どうしよ」
ヴヴヴ…と微かに聞こえる音が余計私を追い詰める。
「とりあえず日菜のとこの駅まで行くか」
昌樹が差し出した手を、私はゆっくりと握った。

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