
君がくれたぬくもり
第17章 悪魔の顔
確かに
何もないのに、こんな早い時間にバイトから帰れるわけがない。
しかも今日は日曜日だ。
「だるい?」
心配そうな顔をする岳に陽菜は首を横に振る。
岳に言うべきなのか…
“お母さんに会った”って…。
「…隠し事とかやめろよ?」
「………。」
真っ直ぐに陽菜を見る岳。
その瞳でこの人に秘密なんてできないことがよくわかる。
なんでもお見通しだ。
「あのね……」
「……うん」
「あの……ね……」
しかし陽菜は口をつぐむ。
てゆうか、急に息苦しさを感じた。
「…陽菜?」
「ごめ……息苦し……」
いつもの過呼吸だ。
過去のことを思い出すといつもこう。
岳は陽菜を抱きしめて、背中を優しく撫でてくれた。
「大丈夫だ…」
「がく……」
優しくそう言う岳はほんとに頼もしい。
少し楽になった陽菜は岳の頬にキスをした。
「おま……もう我慢できねぇ……///」
岳は陽菜を抱き上げた。
