
君がくれたぬくもり
第17章 悪魔の顔
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「なぁ…話の続き。」
「ん?……あぁ…」
岳の腕に頭を乗せ、見つめ合う。
甘い快楽の後の陽菜はさきほどよりも落ち着いていた。
「あのね……バイト先でね………その…お母さんに会ったの……。」
「お母さん……って……。」
岳の顔が引き攣る。
いつか岳に話したことを思い出したんだろう。
「陽菜のこと探してるみたいだった。また来るって…。」
「は…」
「あの人ね、陽菜の身体を使って儲けるから。
怖くて仕事どころじゃなかった…。
それで西田さんがもう帰れって言ってくれて、しばらくバイト休むことになったの。」
「…西田ってやつも今話したこと、知ってんのか?」
岳が陽菜を睨む。
この顔は嫉妬の顔。
陽菜が“西田さん”という単語を出せばいつもこうだ。
「西田さんには言ってないよ…言えないよ…。
もし陽菜の過去が知られたら、もうあそこにはいられない。」
「そうか…。」
岳は安堵の表情を見せた。
