
君がくれたぬくもり
第44章 悪巧み
―――――………
あれから一週間、
相変わらず陽菜はこの牢獄にいた。
幸いあれから誰にも指名されていないが、
いつ名前を呼ばれるのかという恐怖にハラハラしていた。
そして今日も
牢獄の扉が開く…
―――キイィ…
誰もが耳を塞ぎたくなる音…
どうか……
陽菜じゃありませんように。
「おい、陽菜。」
ビクッ
呼ばれてしまった名前…。
陽菜は幸子さんを見た。
幸子さんはすっくと立ち上がり、男に言った。
「あの…あたしじゃダメかしら?」
男はギロリと幸子さんを見ると、
「お前に決める権利はない」
と陽菜の手首を掴んだ。
あぁ……
また悪夢が始まるんだ……。
涙を堪え、
陽菜は牢獄の外に出た。
