
君がくれたぬくもり
第48章 契れた糸
「どこにも行かないって…
もう裏切らないって…言ったじゃん……」
「………」
何も言わない岳。
陽菜もそれ以上は何も言えなくて、泣きながら服を着はじめた。
こんなつもりじゃなかった。
別れるなんて想像もしてなかった。
だってこのベッドで岳の体温に触れた時、
確かに愛はあったから。
永遠を信じられるくらいの愛が溢れていたから。
「岳はずるいよ…」
「え………」
「全部全部、一人で決めて…ずるいよ…。」
カーディガンを羽織り、陽菜はすっくと立ち上がってドアの方に歩いた。
岳はそんな陽菜の後ろ姿をせつない目で見ていた。
病室を出たあと
人目も気にせず泣きじゃくった。
