テキストサイズ

君がくれたぬくもり

第48章 契れた糸





―――――………




ピシャリ…



完全に閉められたドアを見つめ、ため息をつく。




傷つけてしまった…




そりゃそうだ。



自分が最後に陽菜のぬくもりに触れたかったがゆえに無理矢理押し倒して…


しかも“愛してる”なんて、

これから別れる予定の女に言うなんてあまりにも残酷すぎる。



でもな?


本当に愛してるんだ。



たまらなく。




だから俺のせいで陽菜を危ない目にあわせたくない。





「ずるい……か。」




確かに別れ話なんて一方的にするもんじゃない。



でも理由を言えば、陽菜はなおさら俺と一緒にいようとするだろう。




それじゃ意味ないんだよ。



千夏は正直、何をやらかすかわからない。



千夏はどこかの会社の社長令嬢で、


警察に突き出したところですぐに金で解決されるだろう。



先日の誘拐事件も上手い具合に手を回していたみたいだし…




これも全部俺のせい。



俺が千夏に逃げず、陽菜を一途に待つことができていたら、こんなことにならなかった。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ