
君がくれたぬくもり
第49章 mother
静かな病室で二人、ケーキを食べる。
「ここのケーキが美味しいって陽菜が太鼓判押してたから、買ってきたのよ。本当においしいのね!」
昔から多弁だったお袋は
テンション高くそう言ってショートケーキの上に乗っていた大きめな苺を頬張る。
俺は“陽菜”という名前に思わず反応し、フォークを皿に置く。
「あいつ……元気か?」
「うん。普通に。」
あっさりと返された言葉に少しだけムッとする。
普通にって…
もっとこう……なんかあるだろ。
「なぁに?自分から振っておいて気になるんだ?」
フフッと笑い、俺を見る。
どうやらお袋も別れたことを知っているようだ。
「別に……
元気ならいいし。」
「元気…ね。
あの子の場合は空元気だわ。」
「は…?」
空元気?
