
君がくれたぬくもり
第49章 mother
「極力一緒にいるようにしてるけど、一人になればずっと泣いてるわ。
ねぇ岳、あんた何で陽菜のことふったのよ?」
お袋は真っ直ぐに俺を見つめた。
胸が痛むが、だからといって陽菜とヨリを戻すことなんてできない。
「…何でもねぇよ。」
「いい?中途半端な気持ちが、どれだけ人を苦しませるかわかる?」
「関係ねぇだろ!
つーかてめぇも、今さらのこのこ帰ってきて何だよ!?
五年もほったらかしにしといて偉そうな口聞くんじゃねぇ!」
「っ!?」
グチャッ
と音を立て、食べかけのケーキが床に落ちる。
お袋は黙ってしゃがみ、ぐちゃぐちゃになってしまったケーキを空の箱に入れる。
言ったあと後悔した。
お袋は好きで俺たちの前からいなくなったわけではないのはわかっているのに…
ついカッとなった。
「………。」
「岳は昔からそうだったわね。何でも一人で解決しようとして…。」
お袋はフフッと笑うと、ティッシュでクリームを拭き取っていく。
