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恋のかたち

第5章 新生活

「一応説明するけど、バブル期に創設した会社で、逆境すら逆手にとって今に登りつめた会社なんだよ
じぃさんが、かなり、がんばったんだってよ
で、じぃさんが会長で親父が社長、俺が次期ってか、もうほぼ任されてんだけど」

淡々と話す秋豊の話を黙って聞いた

「本当は、見合い話が・・って!余計なこときくんじゃねぇよ」
「なっ!何も聞いてませんよ!話たのはそっちですよ!」
ムキになった優愛も言い返した

「それに、私まだ怒ってるし、許してないし、納得だってしてませんから」
一気に今まで思ったことも言った
「ああん?」
眉間にしわ寄せ、少し睨んだ秋豊に、怯まず続けた

「それに、何でそんなにえらそうなんですか!今まで従って来ましたけど、別に媚びてる分けじゃないんですから」
ふぅん?へぇー。
と話の合間に相づちを打つ秋豊・・

組まれた腕や冷め切った目線、背後に漂う、何かいやな黒いものが見えた気がした優愛は、冷静さを取り戻してきた

「言いたいことはそれだけか?」
氷のような空気に、背中に緊張と冷や汗が流れる

優愛はごくっと唾をのんだ
「お前、俺に買われたんだよ・・小さなオツムに叩き込んどけよ?
生かすも、殺すも俺次第だってことを」
ボー然とする優愛に近づいた秋豊は、顎を持ち上げ
「あんまりガタガタ言ってっと、濡れてないまま突っ込むぞ」

・・青ざめた優愛は
「ごめんなさい。何もないです」といった

何だか酷い脅しだと言うことを理解しただけで充分だった

蛇に捕らわれた、小動物の気分の優愛と、口元を持ち上げ悪魔な満足気な秋豊の視線が合う

その時、秋豊の携帯の着信音が鳴り響いた

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