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玄関ホールに秋豊の姿が見えた
パリッと着こなしたスーツは、乱れなく、胸ポケットからカードを取り出す姿が映る

優愛は、秋豊がカードリーダーに翳そうとする前に玄関を開けた

「おかえりなさい！」
一瞬驚いた顔をした秋豊は、落ち着かない様子でただいまといった

「お風呂にしますか？ご飯もできてますよ？」

少し恥ずかしそうに笑いながら聞いた優愛は、自分の発言にハッとなり、顔を赤くし、秋豊から顔を逸らした

ちらっと秋豊を盗み見する

秋豊も、靴も脱がずに、いつもの不機嫌な顔は面影も無いほど照れ、風呂。と伝え、靴を脱ぎ優愛を通り過ぎてバスルームに向かった

優愛も顔の火照りと、速い鼓動を気にしながらリビングへ向かった

背中に緊張を残したまま、強張った身体をソファに乗せた

まるで、新婚のようだったさっきの発言を思い出して耳まで熱くなる。しばらくすると、秋豊は体から湯気を漂わせてバスルームから出てきた

何となく変な空気が二人の間に流れ、目を合わせない

「湯船久しぶりだった。お前は入ったのか？」
視線を合わせないまま会話する
「わっわたしっは・・後でで、あっごっご飯に・・しましょっ」
緊張でうまく言葉が出ない優愛は、その事にも恥ずかしくなる

カウンターの椅子に座った２人
肩がギリギリぶつからない距離
お互い緊張する雰囲気が流れる

「いっ・・いただきます」
「いたっだきます」
・・コンソメスープに手を付けた秋豊

様子を伺う優愛
覗きこむようにして秋豊を見ていて視線が鉢合う

逸らすことが出来ずに頭まで心臓が跳ねる音が響く

「どっどうですか？」
不安そうな優愛

「うまいな」
真っ直ぐ引き込まれそうな眼差しを向けた秋豊が答えた

優愛は、身体が小さく疼くのを感じた

安心した優愛は、自分の身体の異変に気づかない振りをした