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恋のかたち

第6章 夏休み

返事を返してから無言の秋豊

「何ですか?早く言って下さい」

それでもまだ黙る
優愛も黙った

静かな声で、はっきりと聞こえた
「一緒に寝るか?」

優愛は、秋豊を見たまま動けず、喋れない

秋豊は、真っ直ぐ優愛を見ている
「嫌なら、強要しねぇよ」

優愛の頭で、心臓の爆音が響く
「嫌じゃ・・ない・・」
力のない声で答える

「勝手に入ってこい」
そう言い捨てるようにして、踵を返し自室に戻っていった

バクンバクンと全身心臓になったかのような状態で、考えるよりさきに身体が動いていく

着替えを持ってバスルームに入り、髪の手入れや、いつも以上に丁寧に体を洗い・・・

絶対期待している・・と心の叫びに悶々としながら、ウキウキしている自分の行動に頭が麻痺する

嬉しさと戸惑いと、恥ずかしさと期待が複雑に入り混ざって対処仕切れない感情に沸騰しそうだ

タオルに身を包みながら
濡れた髪のままの自分の姿を鏡で確認した

優愛は、悔しいけど確実に秋豊に惹かれている自分を見た

遥の時よりずっとずっと秋豊を想う気持ちの方が強いと感じた

恋って気持ちに際限は無いものなの?
あの時あんなに遥君を好きだと感じていたのに、確かにときめいて、ドキドキした・・

なのに、秋豊に抱く気持ちはその想いより強い

好きになれるような男性(タイプ)では無いとあれほど思って、寧ろ憎む対象だったのに・・

今は、笑い顔を見たくて、喜んでほしいなんて・・

きゅんっと胸が鳴ることに、少し恥ずかしくて嬉しいなんて・・

優愛は、自分自身の秋豊への想いを再認識し、少し落ち着いたようだった

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