
山茶花(さざんか)の咲く村~男装美少女の恋~
第7章 花の褥(しとね)で眠る
インスがまた笑う。
「そなたは読心術でも学んでいるのか? 昨日の自己紹介では放蕩が過ぎて家を出されたとか言っていたが、今の笑顔で都ではさぞかし多くの女を虜にして泣かせたのだろう」
凛花もまた鷹揚に応じた。
「それはインスの想像に任せるよ。私は揚(ヤン)文(ムン)承(スン)。これからは名前で呼んでくれ」
ふいに二人の会話を女の泣き声が遮った。
声の方を見ると、若い娘がヘジンの亡骸に取り縋って烈しく泣いている。
「ヨンシム、昨日、ヘジンが最後に訪ねていった幼なじみの娘だ。気の毒に、あの娘も自分を責めているんだろう。ヨンシムのところに行かなければ、ヘジンが生命を落とすこともなかったと後悔しているはずだ」
インスが苦渋に満ちた声で言った。
ヨンシムが華やかな婚礼衣装をヘジンの骸にすっぽりと掛けた。自分の婚礼のための衣装を永遠の旅に発つ友へ贈ったのだろう。
ヘジンは、その衣装を見るためにヨンシムを訪ね、その後で殺される羽目になったのだから。
眼にも眩しい色彩が涙にぼやけた。美しい花嫁のための衣装が余計にその場の哀しみをを誘い、居合わせた女たちの中からは多くのすすり泣きが洩れた。
「そなたは読心術でも学んでいるのか? 昨日の自己紹介では放蕩が過ぎて家を出されたとか言っていたが、今の笑顔で都ではさぞかし多くの女を虜にして泣かせたのだろう」
凛花もまた鷹揚に応じた。
「それはインスの想像に任せるよ。私は揚(ヤン)文(ムン)承(スン)。これからは名前で呼んでくれ」
ふいに二人の会話を女の泣き声が遮った。
声の方を見ると、若い娘がヘジンの亡骸に取り縋って烈しく泣いている。
「ヨンシム、昨日、ヘジンが最後に訪ねていった幼なじみの娘だ。気の毒に、あの娘も自分を責めているんだろう。ヨンシムのところに行かなければ、ヘジンが生命を落とすこともなかったと後悔しているはずだ」
インスが苦渋に満ちた声で言った。
ヨンシムが華やかな婚礼衣装をヘジンの骸にすっぽりと掛けた。自分の婚礼のための衣装を永遠の旅に発つ友へ贈ったのだろう。
ヘジンは、その衣装を見るためにヨンシムを訪ね、その後で殺される羽目になったのだから。
眼にも眩しい色彩が涙にぼやけた。美しい花嫁のための衣装が余計にその場の哀しみをを誘い、居合わせた女たちの中からは多くのすすり泣きが洩れた。
