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山茶花(さざんか)の咲く村~男装美少女の恋~

第8章 発覚

ともすれば振り向きたくなる衝動と懸命に闘いながら、凛花は自らの身体を引きずるようにして前に進む。あたかも身体全体が重りになってしまったかのようだ。
 湖岸の小屋まで服を取りに戻らなければならない。ほんの近くの小屋までの距離が凛花には何故かその時、ひどく遠いものに思えた。
 降りしきる雪が白い幕となってゆく手を遮る。白く染まった視界に眼を幾度もしばたたきながら、凛花は自分が泣いているのかどうかすら判らなかった。
 

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