
山茶花(さざんか)の咲く村~男装美少女の恋~
第4章 暗闇に散る花
物言いは優しいが、直善の扱いは荒かった。凛花は引きずられるような格好で空き家から連れ出され、どこかに連れられてゆく。
少し歩くのが遅いと、グイと荒々しい力で引っ張られるため、掴まれた腕が痛みを訴え始めたほどだった。
どれほどの間、そうやって引っ張られていただろう。凛花には永遠にも思える長い時間だった。
「役者は揃った。これから面白い見せ物が始まるよ」
耳許で囁かれた声と共に、凛花は再び強い力で乱暴に背中を押された。弾みで勢い余って転び、道に膝と手をついてしまう。
掴まれた手首が酷く痛んだ。その部分をさすりながら顔を上げたまさにその時、我が眼を疑った。
文龍が見知らぬ若い男と背中合わせになり、剣を構えている。その先にいるのは先刻、荷車の荷を改めていた男、李蘭輝であった。
「文龍さまッ」
凛花が思わず叫ぶと、文龍がハッと振り返る。その瞬間、凛花の後ろから鈍く光る短刀が飛んでいゆくのを、凛花はまるで悪い夢を見ているような心持ちで茫然と眺めているしかなかった。
少し歩くのが遅いと、グイと荒々しい力で引っ張られるため、掴まれた腕が痛みを訴え始めたほどだった。
どれほどの間、そうやって引っ張られていただろう。凛花には永遠にも思える長い時間だった。
「役者は揃った。これから面白い見せ物が始まるよ」
耳許で囁かれた声と共に、凛花は再び強い力で乱暴に背中を押された。弾みで勢い余って転び、道に膝と手をついてしまう。
掴まれた手首が酷く痛んだ。その部分をさすりながら顔を上げたまさにその時、我が眼を疑った。
文龍が見知らぬ若い男と背中合わせになり、剣を構えている。その先にいるのは先刻、荷車の荷を改めていた男、李蘭輝であった。
「文龍さまッ」
凛花が思わず叫ぶと、文龍がハッと振り返る。その瞬間、凛花の後ろから鈍く光る短刀が飛んでいゆくのを、凛花はまるで悪い夢を見ているような心持ちで茫然と眺めているしかなかった。
