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第5章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 1

無視をすれば早いはず。逃げることは出来ないけど、首を突っ込みすぎたら、ますます逃げられないと解っているのに、

気を抜くと考えるのは、斎と的場君の契約内容であり、今から起こる私が観客にさせられる予定の何か、にどうしても向いてしまう。

斎がいなくなると、その何かが起こってしまったのではないかと、日を追うごとに、精神的に落ち着かなくなって来ていて、

斎の存在は私にとって、監視役で鬱陶しいと当初は考えていたはずなのに、姿が見えないと逆に探す羽目に気が付けば、なっていた。

斎がいない=何か良くない事が始まる、という図式を勝手に作って。でも、外れてはいないはず。

「ど、どこにいるのよっ!!」

週末、既に深夜に近い時刻。

気を抜いた心算は無かったけど、気が付けばまたふらりと斎は部屋からいなくなっていた。

慌てて屋敷を何故か飛び出す私。私の頭の中には斎を捕まえる事以外になく、

この慌てた状態をあのお嬢様、佐倉紗香に姿を見られるかもしれない、

なんていう考えには、及びもしない程、視野が狭くなっていた。

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