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第6章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 2

目の前にいる斎から逃げられないのは解ってる。ただ、解っていても、一瞬だけでも隙が生まれないかな、と必死に考えてしまう。

「考えたって無駄。絢乃は逃げられない」

一歩一歩、ゆっくりと近づく斎。
私の背中に当たるのは木の感触のドア。つまり、後ろには逃げ場が無くて。

まさに、私は、彼の、獲物。
食うか食われるかの瀬戸際。

「何度だって言うし、仮に逃げたとしても、失敗してこうやって」

横に逃げようとした私に、駆け足で距離を詰めて。

「は、離してッ」

簡単に腕を捕えられてしまう。

「何故?」

「な、何故って・・・」

「絢乃は俺のモノでしょ?」

近付く顔。至近距離の顔。怖い、という気持ちは拭えない。

「ち、違うって、言ったら?」

「何故?」

・・・何故って・・・。

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