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第6章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 2

「私、契約してないし。出来ないみたいだし」

契約する心算は更々ないし、とは言えなかった。

「絢乃が俺と契約出来る、出来ない、は関係ないんだよ。いや、違うな」

急に目線が合わなくなる。こっちを向いてるのに、どこか遠くを見て、いる?印象。

「俺の力が存分に奮え、何でも出来る、この箱庭の中で、

力が及ばないヒトなど、これまで存在しなかったのに、絢乃の存在は、奇異」

そして、私に話す、というよりは、独白らしき言葉を早口で、まくし立てた。

「・・・・・・もしかしたら」

で、再度、目線が合う。遠くを見る前と違って、射る視線の強さが、増して。

「逃がさない。絢乃だけ逃げようったって、そうはいかない。逃がすものか」

まるですがる様に、巻き付く腕。容赦のない、強い力。

今、向けられているものは、好意というより、執着といった方が、しっくりくる。

さっきから耳に届く言葉は「逃がさない」といううわ言の繰り返しの様なもの。

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