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第7章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 3

返事は返ってこない。といっても気にはしない・・・いつもは。

ただ、今は気になった。何故なら、入ってきたと同時に、何時もとは違う微かな匂いが鼻を刺激する、から。

匂いは・・・鉄っぽい?

匂いを自覚するとともに、何となく後ろを振り返り辛くなる。それは嫌な予感をも伝えてきているようで。

・・・脳裏に、連想するものが、ある。それは一度連想してしまうと、中々脳裏からは消えてはくれず。

「・・・・・・起きたか」

後ろから聞こえる声は確かに、斎のもの。けれど、何時もより低く、小さく、唸るような・・・。

・・・怖い。見てはいけないものが後ろにある。多分。そんな予感。

「絢乃」

「・・・ん?」

冷静を装って返事をしている心算。でも若干いつもより声は小さめになる。

・・・緊張しているのが、解る。逃げ出したい。目の前に見えるドアは、寮に続くドア。あのまま歩いていけば、

この妙な空気から逃れられ、そう。

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