テキストサイズ

contract

第7章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 3

斎の右手で、持っていたドアノブから手が離れ、身体に回っている左手に私の右腕が拘束されると、

乱暴に、ではないものの、目の前のドア側に身体が押され、軽く押し付けられる。

前には、ドア。
後ろには、斎。

・・・いよいよ逃げ場がない。

「どこに行こうと、していた?」

いつもよりゆっくり、そして低めの声で囁くように、右耳の耳元で声がする。

「喉、乾いて」
「それだけ?」

「・・・それだけ」
ではないけれど。

この状況で、反論出来るほどの精神的余裕はない。

「本当、に?」

「そ、うよ」

困惑から、声が震えている気がする。ど、動揺があからさまに口から洩れそうなんですけどッ。

「逃げるのかと思った、とはいえ、何度も言うけど」

話しながら、私の首辺りの髪を手で払い。

「逃がさない」

何度となく繰り返された独占欲を口にして、露わになった首筋に柔らかく湿ったものが、触れる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ