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第9章 case4 【私ガ一番デアリタイ】 2

かかった時間は数秒。その間に蹴られた衝撃で、先輩は後方に吹っ飛び、ガシャンッという音と共にドアに叩きつけられ、倒れ伏し、

手放していないナイフを持った手を踏みつける斎。

苦悶に歪んだ表情の先輩。これは止めるべき?いや、止めない選択肢は・・・ない、けど。

出口が解らない以上、止めようが・・・。

「普通の人間なら、適当に暗示かけてお終いにしますが、今回はわたしと絢乃を引っ掻き回してくれたお礼も兼ねましょう、ね」

「・・・離せッ」

「嫌ですよ、広野君。私と最期に遊んでくれないと」

ニィィッと笑う表情は、既にヒトの表情では無くて、思わず。

「もう止めてえッッ!!!」

目の前の見える画面に向かって咄嗟に叫んだ。

だって、見たい光景じゃなかったし、斎が化け物だったとしても、人を殺すところは見たくない。

それに、隣の部屋なら声が届くかも・・・という希望もあって・・・。

直後、フッと消える光。テレビの様に見えていた画像がいきなり消え、再び暗闇の中に落とされた。

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