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第9章 case4 【私ガ一番デアリタイ】 2

下着辺りはまだちゃんとつけている感じの状態・・・で、顔にかかっている髪の毛を丁寧に払われて、

軽く頬を固定され、吐息がかかり、唇が触れるか触れないかのところで、呼び止めてみる。

「斎」

「ん?」

唇を動かせば、微かに触れる距離を保ったまま、斎はそれ以上、動かない。待ってる、らしい。

相手の正確なテンポの吐息が解る距離。多分、お互いが見えていたら・・・間抜けな状態かも知れない。

「絢乃、止めた理由は?」

理由は、ある。でも今聞くのが正しいのかどうなのか・・・躊躇しながら、でも止めた以上は、聞いてみる。

「・・・斎は・・・なんで私に執着するのかな?」

私でなければならない理由は、無いと思うのだけど。

で、斎から帰ってきた返事は、

「絢乃だから、かな?」

という、答えになってない答えを口にした後、斎の唇は正確に私の唇を柔らかく捉えた。

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