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第10章 case5 【私ヲ見テ】 1

ドンッと押される身体。構えてなかったせいで、尻餅をつく。

「いたたた・・・」

「いい?私の屋敷を、私の斎様を引っ掻き回すのは止めて。目障りなのよっ!!」

捨て台詞ののち、お嬢様はすたすたと歩いていく。結構なお怒りだったなあ・・・なんて、のんびり考えつつ、立ち上がると。

「女の嫉妬は可愛いね」

目の前に、人。制服を着ているから、同じ学生。

それにしても・・・嫉妬が可愛い、とはどういうこと?ふつう醜くない?嫉妬って。

「見方を考えれば、嫉妬もかわいく思える。そういう事さ。藤沢絢乃ちゃん」

「はぁ・・・」

「俺は絢乃ちゃんに頑張って欲しいと思ってるからね?」

・・・何を?

「咲楽によろしく」

そう言いつつ、渡される茶封筒。中身は封がされていて何か解らないけど・・・。

生徒会長の演説の時、見た事のある顔が、にこにこ笑っている。近くで見た事が無かったので、初対面とあまり変わらない。

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