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第11章 case5 【私ヲ見テ】 2

「何って・・・」

改めて言われると、言い様が無いように思う。同級生を追いかけてました。とも言い辛いだろう。

詰問している斎の姿は、私から見て背中だけしか見えないけど、それでも十分に感情が解る。怒っている、と。

対照的に、足首を抑え痛みに耐えながらも、完全にビビりきっている表情の岩倉君。

体制、逆転。つまり・・・助かったらしい。

「お前、ほんとに何やってる?よりによって絢乃に手を出すとは・・・アイツも焦ってるとか?」

・・・アイツ、って・・・誰?

という疑問が浮かび、聞いてみたい気になる。斎は今回のいざこざの全容を既に把握しているのかも知れない。

「俺のものに手を出したら、どうなるか、身に持って思い知った方が良いな」

そう言いながら、岩倉君の後ろに回り込む。いったい何をするのかと思えば・・・、

ドンッッという音と共に背中を容赦なく蹴り、転がった先で、右手を左足で踏みつけ、しゃがみ込むと、耳元でぼそぼそっと何か耳打ち。

単語じゃなくて、文章的な長い言葉を。

・・・その途端、岩倉君の顔は一気に蒼白になり、ガタガタ震えだしたかと思えば・・・。

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