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第11章 case5 【私ヲ見テ】 2

「わぁぁぁぁぁぁぁッッ」

意味不明の叫び声をあげ、踏まれていた右手を庇いつつ、惨めに走り去っていく。

・・・何があった、の?

あまりにあっけない幕引きに、きょとーんとせずにはいられない。

「な、何?」

「身の程知らずが!・・・しかしこれで、これ以上の手出しは出来ないな!?」

大きな声で威嚇するかのように、何処かに向かって叫び、何時もより早足でこちらに向かって歩いてきて、片腕をぎゅっと掴まれる。

「来い」

引き寄せられる腕にかかる手の力が半端なく強い。思わず、

「痛いッ」

痛みで一瞬目を瞑る。苛立ってるのは解るけど、もう少し手加減して・・・。

文句言いたかったけど、斎はかなり怒っている様子で、問答無用で歩かされる。どこに向かって・・・?

数分後、ピタリと止まる足。教科準備室、と書いてあるドアの前。

この部屋、教科準備室と書いてはあるものの、実質はほとんど使わない倉庫になってる、って聞いた事がある。

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